多様体は現代数学における重要な概念です。ですが、難しいことにも定評があるようです。私も多様体論の深いところまで学習したわけではないので、偉そうなことは言えませんが、実際自分で学習していて気づいたことを書こうと思います。
多様体を平たく説明すると、近くで見るとユークリッド空間(私たちがよく想像するような平面や空間のことです)に見えるような図形のことをいうわけです。しかし、全体を見ると必ずしもユークリッド空間ではありません。ユークリッド空間は最も基本的な多様体の一つと言えます。
難しさの要因としてまず考えられるのは、学習者が持つ位相空間に関する知識不足が挙げられると思います。多様体の入門段階において位相空間の十分な理解はいらないと思いますが、ハウスドルフ空間や第二可算性などの用語を知らないと、多様体の定義すらままなりません。ですから、多様体の学習を始める前に、ここら辺の言葉の定義だけでも振り返っておくことが推奨されます。
次に考えられるのは抽象的であることだと思います。これは数学全般に言えることではあると思うのですが、多様体は図形を扱うので人間の直感と思考がちょうど交差するような位置にあります。人間の直感が働かないようなものであれば、論理に従って進めればよいのですが、多様体論のような幾何学を学習する際には、どうしても直感的に見ることができるだろうという期待が私たちの中には生まれてしまうのです。その直感も重要なのですが、学習初期段階ではなかなか直感と論理の橋渡しが難しいのもまた事実です。ですから、多くの例を知っておくことは有用であると思います。数学のどの分野においても言われるように、例を知っておくことでよりその対象への親しみが生まれ、一般論の展開においてもある程度の直感を働かせることができるようになるのではないでしょうか。
多様体論のキーワードは「座標にとらわれない」ことだと思います。局所的にはユークリッド空間ですから、その意味で各点には座標があるとみなせるわけですが、できるだけその座標を使わずに多様体そのものが持っている性質を探ろうとしている旅のように感じてきました。私もまた精進していこうと思います。
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