集合について

集合という概念は現代数学の言葉ともいわれるようなものです.数学はいろいろな分野があるわけですが,どの分野も集合を土台として理論が展開されます.ですので,集合に関する基本的な用語や概念,記号を知っておくことは重要なことです.

この記事ではいわゆる公理的集合論の解説はしません.ある程度のレベルまで数学の学習を進めていけば,どこかで必要になるのですが,初めは直感に従って入門するのがいいと思います.

基本的な記号

集合の書き方

集合とは物の集まりのことです.なので集合にはそれを構成する中身があります.その中身1つ1つのことを元または要素と言います.集合は元を\{\ \}で囲って表現します.例えば次のように集合を考えることができます.

例1

\{1,2,3\}

例1の集合の元は1,2,3です.このように複数の元はカンマ(,)で区切ります.

集合を表す記号としては大文字A,B,\dots,X,Y,\dotsなどを使い,集合の元を表す記号としては小文字a,b,\dots,x,y,\dotsが使われることが多いような気がしますが,別にこれといった決まりはありません.

集合は次のようにして視覚的に表現することができます。

数の集合には慣用の記号があります.自然数の集合は\bf{N},整数の集合は\bf{Z},有理数の集合は\bf{Q},実数の集合は\bf{R}と書きます.

xが集合Xの元であることを次のように書きます:

x\in X.

このときxXに属する,xXに含まれる,Xxを含むなどと言います.

逆にxXの元でないことを次のように書きます:

x\notin X.

例2

X=\{1,2,3\}とすると

1\in X

であり

0\notin X

である.

部分集合

2つの集合A,Bを考えます.もしAの元がすべてBの元でもあれば,ABの部分集合と言います.ABの部分集合であることを次のように書きます:

A\subset B.

ABの部分集合であることを次のように書くことができます.

この「Aの元がすべてBの元でもある」ということを記号で表せば

x\in A\Longrightarrow x\in B

ということです.ですからA\subset Bであることを示したければ,x\in Aと仮定したうえで,x\in Bを示せばよいのです.A\subset Bであることを,ABに含まれる,BAを含むなどと言います.

A\subset Aは常に成り立つことに気をつけましょう.なぜなら

x\in A\Longrightarrow x\in A

は常に成り立つからです.

例3

自然数は整数でもあるから\bf{N}\subset \bf{Z}である.

当たり前かもしれませんが次が成り立ちます:

命題4

A,B,Cを集合とする.A\subset BかつB\subset CならばA\subset Cが成り立つ.

証明

x\in Aとしてx\in Cであることを示す.仮定よりA\subset Bだからx\in Aであることよりx\in Bである.再び仮定よりB\subset Cでもあるからx\in Cである.よって,A\subset Cが示された.

集合が等しいということ

2つの集合A,Bが等しいとは,ABが同じ元から構成されていることと定義します.つまり,ABが等しいとは

x\in A\Longleftrightarrow x\in B

が成り立っていることと定義するのです.ABが等しいことをA=Bと書きます.

このことは集合がその集合を構成する元によって決定されることを意味しています.

A=BであることはA\subset BかつB\subset Aであることと同値です.このことから,A=Bであることを示すために,A\subset BB\subset Aを別々に示すことがよくあります.

A\subset BかつA\neq Bが成り立っているとき,ABの真部分集合といいます.例3において\bf{N}\subset \bf{Z}で,\mathbf{N}\neq\mathbf{Z}ですから,\mathbf{N}\mathbf{Z}の真部分集合であることが分かります.

集合と条件

Xを集合とします.Xの元xに関する条件をp(x)として

\{x\in X\mid p(x)\}

と書いて,条件p(x)を満たすようなXの元全体を表すような集合を表現できます.つまり,a\in\{x\in X\mid p(x)\}であることを,p(a)が真であることと定めるのです.これを記号で表すと次のようになります:

a\in\{x\in X\mid p(x)\}\Longleftrightarrow p(a).

この関係は定義なのですが,重要なのできちんと述べておきました.

例5

x\bf{R}の元,つまりxを実数として,xに関する条件

x^2-3x+2=0

を考える.この条件を満たすようなxの集合は

\{x\in \mathbf{R} \mid x^2-3x+2=0 \}

と書ける.x=1はこの条件を満たすから

1\in \{x\in \mathbf{R} \mid x^2-3x+2=0 \}

である.x=0はこの条件を満たさないから

0\notin \{x\in \mathbf{R} \mid x^2-3x+2=0 \}

である.

Xの元の個数が有限個のときXを有限集合,元の個数が無限個のときXを無限集合と言います.

空集合

集合には特別な集合として元を含まない集合というのが存在します.このような集合を空集合と言います.空集合は\emptysetという記号で表されます.空集合は元を含まないので

x\in\emptyset

はいつでも偽となります.Xを条件として,条件を使った書き方で具体的に空集合を表現するとすると次のように書けます:

\emptyset =\{x\in X\mid x\neq x\}

これはx\neq xという条件が常に偽なので,x\neq xを満たすXの元は存在しないからです.これから分かることは,条件として常に偽となるようなものを持ってくれば,その条件でいつでも空集合を表現できるということです.

次のことは当たり前に思えるかもしれません.

命題6

空集合は任意の集合に含まれる.つまりXを任意の集合とすると

\emptyset\subset X

が成り立つ.

証明

\emptyset\subset Xを示すためには次を示せばよい:

x\in \emptyset \Longrightarrow x\in X

しかし,x\in \emptysetは常に偽であるので,仮定が偽であるからこの命題は結論の真偽にかかわらず真となる(数学をするための基本事項 ~命題について~を参照).よって\emptyset\subset Xが示された.

命題6の証明はなんだか騙された感じがするのですが,このような論法は空集合を扱っているとよく見かけます.

まとめ

集合の基本的な記号について解説しました.これらのことは数学を学ぶ上で必ず必要な知識です.

参考書

集合・位相入門 (松坂和夫 数学入門シリーズ 1)(松坂和夫著):https://link.amazon/B01EYzLrd

この本は昔からの定番です.

集合と位相 第2版 (8) (大学数学の入門 8)(斎藤毅著):https://link.amazon/B0iapAyso

この本は少し癖がありますが,面白いです.


一応2つの参考書を載せましたが,今回の記事の内容と被っているところでいえば,どちらもあまり変わらないような気がします.私が持っていて実際に読んだことがあるのは上の2つだけですが,ほかにもいろいろありますので,本屋や図書館などで探してみるといいと思います.

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